カリウム制限とは
カリウムの働きと腎臓との関わり
カリウムは、あらゆる食品に含まれるミネラルの一種です。体内では主に細胞内で使われ、ナトリウム(塩分)と相互に作用しながら体内の水分量を保ち、むくみの解消や血圧を下げる働きをしています。
通常、腎臓には血液中のカリウムを一定に保つため、余分なカリウムは尿として排出し、必要な量は再度吸収する機能が備わっています。
しかし、機能が落ちた腎臓では余分なカリウムを充分に排出できません。血液中のカリウムの濃度が高くなりすぎると、命の危険がある重篤な症状を引き起こしかねないため、腎臓病の方はカリウムを控える必要があります。
カリウムの摂りすぎによる症状
血中のカリウムの濃度が上がりすぎた場合に起こる症状には、以下のようなものが挙げられます。
- 倦怠感
- 不整脈
- 心不全
症状が重くなると心不全により心臓が停止、死に至る場合もあるため、決して楽観視せず医師の指示に従いましょう。
カリウム制限の食事
カリウムはあらゆる食材に含まれています。肉や魚にも含まれており、タンパク質を制限する過程でカリウムの摂取量も減らせるため、腎臓病の症状によっては制限されないこともあります。
しかし、血液検査により血中のカリウムの濃度が上がっている場合には、カリウム制限が開始されます。
カリウムの多く含まれる食材は、生野菜や果物、イモ類など。水に溶ける性質があるため、小さく切って茹でたり、水にさらすことで摂取量を減らす工夫をします。
それでもカリウムの数値が下がらない場合には、カリウムを吸収しにくくする薬の服用を勧められる場合もあります。
塩分制限とは
塩分の働きと腎臓との関わり
塩分とは、ミネラルの一種であるナトリウムのことを指します。このナトリウムは体液の中に多く含まれ、カリウムと相互に作用して体内の水分バランスや、細胞の浸透圧を一定に保っています。
また、筋肉の収縮や神経の情報伝達、栄養の吸収・輸送にも密接に関っています。
正常な腎臓には、摂取しすぎた塩分を体外に排出する機能が備わっています。しかし腎機能が低下すると、余分な塩分を体外に排出できなくなったり、体内の水分量の調整が難しくなります。
また、塩分の摂りすぎによる害として代表的な高血圧も、血圧を正常に保つ働きを担っている腎臓に大きな負担となるでしょう
塩分の摂りすぎは体内の浸透圧のバランスを崩しやすくなるだけでなく、弱った腎臓にさらに負担をかけ、症状を悪化させてしまう恐れがあります。
塩分の摂りすぎによる症状
塩分を摂取しすぎると以下のような症状が表れます。
- 喉が渇く
- 高血圧
- むくみ
水分の摂取が制限される腎臓病の療養では、喉が渇くことは辛い症状でしょう。また、塩分の過剰摂取は腎臓病を悪化させる原因にもなるため、厳密な制限が必要になる場合もあります。
塩分制限の食事
塩分は必要不可欠なミネラルではありますが、普通に食事が摂れている限り不足することはまずありません。いかに摂取量を減らすかということが課題となります。
まず塩分の多い食品として、代表的なものが調味料です。酸味や辛味、だしや薬味の風味などをうまく利用して調味料を減らす工夫をしましょう。
醤油などは食事にかけるのではなく、付けて食べるようにすると使用量を減らせます。麺類のスープにも塩分が多いため、飲まないようにしましょう。
加工食品にも多くの塩分が含まれています。使用を控え、やむを得ない場合は塩分の少ない、低塩の製品を選びます。
まとめ
一度機能が低下した腎臓は、回復させることができません。そのため腎臓病の食事制限は、いかに継続するかが重要になります。
近年、塩分を控えた加工食品も増えましたし、腎臓病に配慮した宅配弁当なども販売されています。
うまく利用して食事を用意する負担を減らすことも、食事制限を長く続ける助けになるでしょう。