腎臓病の悪化を避け、腎臓を労わるために必要な食事療法。摂取するべき腎臓に良い食べ物と、避けるべき腎臓に悪い食べ物をご紹介します。
腎臓に良い食べ物
腎臓病の食事療法では、タンパク質を多く含む肉や魚類や、ご飯、パンなどの穀類を避けます。
そのためエネルギーはタンパク質以外から摂取しなければならず、通常より多くのカロリーが必要になります。
また、エネルギーが不足すると、体内に蓄えたタンパク質が代謝・消費され、タンパク質を摂取した時と同様に老廃物が発生します。
この老廃物は腎臓以外から排出されず、腎臓に負担を掛ける原因になるため、エネルギーが不足しないよう摂り続けなければなりません。
油類
油類は貴重なエネルギー源になります。
食事に1品揚げ物を加えると、食事のカロリー量を上げやすいでしょう。また、サラダ油やマヨネーズ、ドレッシングなどは手軽に利用でき、少量でも高カロリーなので便利です。
糖分
糖は吸収が速く、摂取しやすいため優秀なカロリー源になります。
ただし甘い洋菓子や和菓子は、タンパク質が含まれているため避けるべき。
お菓子でエネルギーを摂取したいなら、飴やラムネがおすすめです。
また、低たんぱくのクッキーなども市販されているので、必要に応じて利用するのも良いでしょう。
炭水化物
油類や糖分に次ぐエネルギー源となるのが炭水化物。
しかし炭水化物の多く含まれる、米や小麦粉、芋類には避けるべきタンパク質やカリウムが多く含まれています。
そのため、利用したいのがはるさめです。はるさめの主成分は炭水化物で、タンパク質はほとんど含まれていません。
麺類が食べたい時の代替品として利用したり、油で揚げて付け合わせに利用したりと、アレンジして楽しめます。
また、タンパク質を除去する加工をした米飯やパンも市販されています。
腎臓に悪い食べ物
タンパク質の多いご飯やパン、麺類
タンパク質は体内で利用される際、腎臓からしか排出されない老廃物を出し、腎臓に負担をかけるため避けるべきとされています。
とはいえタンパク質は体を作るために必要な栄養素。体内では作れない必須アミノ酸の原料となります。
食事制限では摂取可能な量を医師から指示されるでしょう。この時気を付けたいのが、摂取可能な範囲で良質なタンパク質を摂ること。
ご飯やパンなどの穀類に含まれるたんぱく質は、アミノ酸に偏りがあり良質なタンパク質とは言えません。
摂取可能量の範囲内は、アミノ酸価の高い動物性のタンパク質を摂ることをおすすめします。
塩分の多い練り物や加工食品
塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、血圧を正常に保つ働きを担っている腎臓に負担をかけてしまいます。
塩分を控える中で、意外と見落としがちなのが加工食品の存在です。薄味に感じるはんぺん1枚でも、含まれる塩分は1gと、アジの干物1匹分に相当します。
漬物や佃煮、干物など明らかに塩分の高いものは避けるのはもちろんのこと、練り物や加工食品に含まれる塩分にも気を付けましょう。
カリウムの多い果物、生野菜、芋類
余分なカリウムが腎臓でろ過、排出されなくなり血液中に溜まってしまうと、カリウムの摂取を制限されることになります。
これは血中のカリウムの濃度が上がりすぎると、不整脈が出現、ひどい場合には心臓が止まってしまうからです。
カリウムはあらゆる食品に含まれていますが、特に果物や生の野菜に多く含まれていることは有名。
加熱する、水にさらす、缶詰の果物を使うなど、カリウムの量を減らす方法も様々です。
意外と知られていないのは、芋類にも多くのカリウムが含まれていること。芋類を食べる時にはなるべく小さく切ってから茹でこぼすようにしましょう。
カリウムは水に溶けやすい性質があるため、丁寧に水気をきることでより多くのカリウムを除去できます。
食事のバランスと調理の負担軽減
バランスの取れた食事の必要性
人間の体を維持するにはバランスのいい食事が必要です。
これは食事制限のある腎臓病患者でも変わりません。摂取可能な範囲内で良質なタンパク質や野菜を摂り、他の病気の原因にならないよう配慮しましょう。
また、風邪などの感染症は腎機能を悪化させる原因になることからも、栄養バランスを整え、丈夫な体を維持する必要があることがわかります。
調理の負担を軽減するには
カリウムの摂取量を減らすため、野菜は小さく切って茹でこぼすこと。塩分は控え、漬物や干物は禁止。加工食品はなるべく避けます。
エネルギーは必要ですが、タンパク質の多く含まれる洋菓子や和菓子はNGです。これだけを見ても、調理にはかなりの手間がかかることは想像に難くないでしょう。
カロリーを増やすために揚げ物をメニューに加える、汁物は薄味で済むようしっかりだしを取るなど、バランスのとれた献立を考えるのも一苦労。これが毎日のこととなると、調理の手間は計り知れません。
そんな時におすすめなのが、宅配食を利用することです。宅配食には、腎臓病の食事制限に配慮された商品も多く出ており、湯せんやレンジ調理などで手軽に食べることができます。
栄養士が献立を考えているため、栄養バランスも良いのも宅配食の特徴。食事療法を怠ると腎臓病が悪化し、人工透析や、ひどい場合には腎臓移植を待たなければばらなくなります。
腎臓病の悪化を防ぎ食事のバランスを維持したまま、調理の負担を軽減するには、腎臓病に配慮した宅配食の利用を検討してみましょう。