たんぱく質・カロリーと腎臓の関わり
たんぱく質と腎臓
たんぱく質は体を作るために必要な栄養素です。たんぱく質は体内で分解され、アミノ酸となって体内に吸収、消費されます。
このアミノ酸の中には、必須アミノ酸と呼ばれる、人間の体の中では生成されないアミノ酸が含まれています。
体内で生成されないということは、つまり食事から補うべき栄養素だということです。たんぱく質を含む食品は多くありますが、この必須アミノ酸が多く含まれるたんぱく質こそ、良質なたんぱく質だと言えます。
筋肉や皮膚など、体を作るのに必要なたんぱく質ですが、体内で消費される際には老廃物を残します。
老廃物を血液からろ過し、尿として体外に排出するのが腎臓の役目です。しかし腎機能が低下すると、血液中から老廃物を取り除けなくなったり、取り除いた老廃物をうまく濃縮して体外に排出できなくなったりすることがあります。
カロリー不足と腎臓
カロリーとは、熱量のこと。多くの食品に含まれ、人間が生き、活動するために必要な栄養源になります。
カロリーは安静にしていても一定量は消費されるもので、カロリーがなくては人間が生きていくことはできません。
食事から得られるカロリーが不足し飢餓状態となった体は、蓄えられたタンパク質を分解し、消費して栄養源とします。
この時、食事で摂取したたんぱく質を分解・消費した場合と同様に老廃物が発生し、腎臓に負担を掛ける原因になります。このため、たんぱく制限と同時にカロリーの摂取量を増やすことが必要とされています。
たんぱく制限とは
たんぱく質が多く含まれる食品
たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品、米や小麦などの穀類に含まれています。なかでも良質なたんぱく質とされているのは、肉や魚、卵などの動物性のたんぱく質です。
たんぱく制限の食事
たんぱく制限では、主に米や小麦などの穀類に含まれるたんぱく質や、大豆製品を減らします。食事制限内で食べるたんぱく質は、肉や魚、卵など動物性のものを選びましょう。
これは、必須アミノ酸が多く含まれる吸収効率のいい良質なたんぱく質を摂取し、少ないたんぱく質の量でも充分な働きができるようにするため。
腎臓への負担を軽減するため、摂取量を制限しなければならないとはいえ、たんぱく質は日々体内で消費される必要な栄養素です。
必要以上には控えず、医師の指示に従いましょう。
カロリーアップとは
カロリーの高い食品
カロリーの高い食品としては、砂糖や油類、炭水化物が挙げられます。注意すべきなのは、炭水化物を多く含む米や小麦などの穀類には、たんぱく質が含まれていることです。
低たんぱくになるよう加工した米や、たんぱく質をほとんど含まない春雨など、炭水化物が主成分の食品をうまく活用しましょう。
カロリーを多く摂れる食事
揚げ物やバターを多く使った炒め物など、油脂を積極的に摂ることで。食事のカロリーを上げることができます。
付け合わせには素揚げにした春雨を添えると、淡白な味でどんなものにも合うので便利です。食事だけで充分なカロリーを得られない場合は、間食を利用します。
しかし洋菓子や和菓子には要注意。原料となる卵や餡には、たんぱくしつ質が多く含まれていることを知っておきましょう。
腎臓病の療養食には、飴やラムネなど、砂糖を主原料としたお菓子が向いています。たんぱく制限用のクッキーなどもカロリーアップに効果的です。
また、コーヒーや紅茶などに砂糖を入れて飲むのもお勧めです。水分制限の範囲内ならば、無果汁のサイダーなどもカロリーを摂取する助けになるでしょう。
甘いものが苦手な場合は、粉飴という甘さは控えめながらカロリーは高いお砂糖も販売されているため、導入してもいいかもしれません。
たんぱく制限とカロリーアップのまとめ
食事制限は大切ですが、たんぱく質を徹底的に排除したり、カロリーを過剰に摂ったからといって腎臓の機能が復活するわけではありません。
むしろ新たな体調不良の原因になってしまう可能性もあります。医師の指示に従い、弱った腎臓を労わりながら、根気よく食事制限を続けていく必要があります。